ソフト面でも、Windows用仮想ターミナルソフトを用いれば実現可能となる。 セキュリティ面でも、セキュアなホスティングを利用すればリスクが軽減されるし、ある程度セキュリティ面に目をつぶればVPNでイントラネットパソコンにつなぐことも考えられる。
技術的には可能であるこれらのプリントサービスは、まだ需要を掘り起こし切れていないのが現状である。 今後、広範な顧客のニーズに合うようなサービスを提供し、潜在的な需要をいかに掘り起こすかが重要なカギとなってくる。
4)ドキュメントソリューションITバブル崩壊後の不況から回復できないエレクトロニクスメーカーが多くあるなかで、ひとり事務機器業界は高業績を継続している。 複写機のデジタル化やネットワーク対応、モノクロからカラーへのシフト、さらにはMFPの高機能化など、事務機器業界は継続して技術革新をとげてきた。
技術革新は、製品ライフサイクルの短期化と価格性能比の向上を促進した。 その結果、従来からの優良顧客であった大企業市場における代替需要の創出と中小企業市場の開拓が進んだ。

事務機器メーカーによる海外市場の開拓は目覚ましいものがあり、特に最大の市場である北米市場で日本メーカーは躍進をとげた。 北米市場は企業の'情報化投資が盛んであり、事務機器のデジタル化やネットワーク化もいち早く進んだ。
このため、事務機器を販売するうえではシステムインテグレーターやネットワークインテグレーション力を有したVAR(ValueAddedReseller、付加価値再販業者)とのチャネル連携が重要となり、日本メーカーはチャネル戦略を強化した。 一方、日本市場においては産業構造上、非常に大きな部分を占める中小企業向けの需要の活性化がカギであったことから、価格競争力の高い製品の開発が進み、全体として日本メーカーの価格競争力は大きく向上した。
順調な市場拡大が続く一方で、企業のなかにおける事務機器の位置づけは徐々に変化してきている。 アメリカ企業がIT武装により大きく生産性を伸ばし、さらにはITを挺子として新たなビジネスモデル作りに成功したことから、それを追いかけるかたちでグローバルレベルでの企業のIT化が大幅に進展している。
ブルーカラーに比べホワイトカラーの生産性が低いといわれているなか、IT利用が生産性向上に与えるインパクトが大きいことから、1990年代後半からオフィスにおけるIT化が企業の死活問題として取りざたされてきた。 2001年に通信ネットワーク業界に端を発したITバブル崩壊に伴い、’情報化投資は低迷しているものの、企業のIT化に対する意欲は依然として高い。
オフィスの情報化を図るうえで、きわめて重要となるのがドキュメントである。 ホワイトカラーの業務の多くの部分を、ドキュメントの閲覧、生産、再加工などが占めている。
電子化の進展により、ドキュメントそのものの定義も変化しつつキユメントを定義することが可能と(注)IT利用度が高く、かつ組織の分権度が高い場合には、IT利用度が低く、かつ組織の分権度が低い場合に比べ生産性なってきた。 このようなドキュメンが75%向上することを示すも以下、他のセグメントも同様。
(出所)経済企画庁(現内閣府)「IT化が生産性に与える効果にトの定義の変化に伴い、事務機器は、ついて」単に紙媒体のみを取り扱う機器(ハコ)から情報システムへと進化することが、必然的に求められている。 また、インターネットの普及に伴い、トランザクションコストが急速に低下したことから、企業内部だけではなく企業外部とのやりとりが大幅に進んだ。
このため取引業務やアウトソーシングが活発となり事務機器のカバーすべき範囲も大幅に拡大し、しかも不特定多数となりつつある。 インターネットプリンティングなどのキーワードも登場し、必要に応じて、いつでもどこでもドキュメントを取り出せるオンデマンド化やモバイル対応なども新たなビジネスチャンスとして注目されている。
保険の外務員が、外出先で必要に応じて最適な営業資料を利用できることや、建設現場の進捗状況が記された図面をベースに、工程管理や資材発注をやりとりできるなどのASP(ApplICationServICeProvider)も登場している。 このように、ドキュメントの定義の拡大による事務機器のシステム化とインターネットの普及によるネットワーク化に伴い、事務機器のビジネスモデルはソリューションへと変革をとげようとしている。
このような流れは、ドキュメントソリューションとして注目されている。 ドキュメントソリューションは大きく分けて2つのビジネスモデルに分類される。

1つはドキュメントの取扱量に比例して紙や消耗品などのランニング収入で儲けるモデルであり、もう1つはドキュメントの取扱量とは関係なく、サービスやソリューションそのもので儲けるモデルである。 後者はドキュメントの定義の拡大に伴うシステムの側面にフオーカスしたモデルであり、ITサービスそのものである。
ドキュメントソリューションという言葉は比較的古くから存在し、文書管理システムやワークフロー管理など、ドキュメント周りのシステムに使われてきた。 それがITシステム全体へと拡大してきたといえる。
事務機器メーカーはソリューションで儲けるビジネスモデルの変化に対応することが必須となってくるが、そこには大きな壁がある。 そもそも、競合はきわめて激しい。
コンピュータメーカーやシステムインテグレーターなど、ITシステム構築に関しては事務機器メーカーよりも競争優位な既存プレイヤーが数多く存在する。 また、ソリューションのビジネスモデルは現在の事務機器メーカーのビジネスモデルとは儲けるためのメカニズムが根本的に異なる。
現在の事務機器メーカーのモデルは機器売りが中心であり(厳密にはその後のランニングで儲けるが)、量産効果と標準化による生産管理が重要となる。 これに対してソリューションのビジネスモデルは顧客ごとのニーズに応じたカスタマイズが必要となり、標準化とカスタマイズのバランスや稼働のコントロールが生命線となる。
事務機器メーカーの収益率は、売上高対営業利益率ベースで1桁パーセント台後半から10パーセント前後であるが、ソリューションベンダーの収益率は一般的にはこれに比べて低いのが現状であり、コスト構造の変革も求められてくる。 ソリューションのビジネスモデルに変革するためには、継続して収益を出すための営業の仕組みづくりや稼働コントロールの最適化に向けたプロジェクトマネジメントが求められる。
また、モノづくりの面でも変革が求められる。 MFPはオフィスのなかで、インプット、プロセッシング、アウトプットをすべてあわせもった機器であり、情報ポータルやサーバーとしての発展が期待されている。
このような事務機器の多機能化やプラットフォーム対応が求められてくるなか、ソフト開発力の強化が必須となってくる。 事務機器のソフト比率はシステム化対応に伴い過去から向上しており、ベンダーのソフト開発力がオーバーフローする“ソフトウェアの危機”が懸念され始めてきている。
しかし、事務機器はメカ機構の塊であることから、ハードとソフトの結合性がきわめて高い。

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